
シルバー925アクセサリーの黒ずみや変色の原因 | 適切なお手入れ方法について
もしも愛用しているシルバージュエリーやアクセサリーが黒ずみや変色を起こしてしまったとき、あなたならどうしますか?
直営店にご来店頂くお客様からもお問い合わせを頂くことが非常に多い、シルバーアクセサリーの変色対策やケア方法。他店で購入されたお客様の中には、ご自身が着用されているアクセサリーの素材が何なのかを知らないままの方も多くいらっしゃいます。それだけジュエリーを販売する側が、素材に対してあやふやな知識しか持っておらず、お客様への案内が不足していることの表れなのかもしれません。

わたしたちは、シルバー925の繊細な美しさを永く楽しんで頂くために、定期的にケアをして頂くことをおすすめしています。過度に気にする必要はありませんが、適度に気にかけて頂けると、シルバーアクセサリーはそれに応じて美しく経年変化してくれます。
もしご自身が着けている、シルバーアクセサリーの黒ずみや変色が気になる方、そしてこれから先もご自身のジュエリーを大切に扱っていきたい方は、今回ご紹介する知識をぜひご自分のものにしてみてください。

シルバー925 アクセサリーの黒ずみと錆の違い
よく頂くご質問に「シルバー925は錆びますか?」という質問があります。このご質問には前提があります。それは「シルバーは錆びない」ということです。ここで言うシルバーとは、シルバー925のことで、いわゆる銀製品のことを指しています。
多くの方が、この「銀製品(シルバー925)」と「銀色のアクセサリー」を混同されているのではないかと思います。銀色のアクセサリーの中には、真鍮やステンレスも含まれます。どんな素材に対しても、シルバーカラーのコーティングをすれば、銀製品の様に見せかけることができます。安価なシルバーカラーのアクセサリーは、この手法を用いて販売されていることが多いので、購入前には必ず素材の確認をしてください。

シルバーカラーの真鍮やステンレスのアクセサリーが錆びるのに対して、シルバー925のアクセサリーに生じる黒ずみは「錆び」ではありません。一般的に「錆び」とは、金属が空気中の酸素や水分と反応し、腐食が進んでいく現象を指します。一方でシルバー925には鉄のような腐食は起きず、黒ずみや変色はあくまで表面的なものです。
そのため、研磨や適切なクリーニングなどの処置を行えば、経年変化の美しいを保ちながら表面が輝いている状態をキープすることができます。この「輝きを復元できる」という特徴こそ、シルバー925のアクセサリーを永く愛用できる大きな理由の一つです。
それでは、なぜシルバーには黒ずみや変色が起こるのでしょうか。シルバーの地金が変色、黒ずみを起こす原因は主に3点あります。
硫化
シルバー925の黒ずみの主な原因は「硫化」という現象です。硫化とは、シルバーが空気中に含まれる硫黄分と反応して表面が黒っぽく変色することを指します。硫黄は温泉の成分やゴム製品など身近なものにも含まれており、湿気が多い環境では特に硫化が進みやすくなります。
酸化
黒ずみや変色のもうひとつの原因は「酸化」です。酸化とは、金属が空気中の酸素と反応することで表面が変色する現象を指します。シルバー925には約7.5%の銅が含まれているため、銅が酸化して黒ずみを引き起こす場合があります。真鍮や銅のアクセサリーが黒ずみやすいのは、この酸化が原因となっているためです。化粧品なども、酸化の原因となる場合があります。
水や化学物質
塩素との反応も変色の原因の一つ。水道水に含まれる塩素の量では大きな変色は起こりにくいですが、塩素濃度が高いプールの水や塩分を含む海水などに触れると、変色が進む場合があります。シルバーアクセサリーを着用したままプールや海に入ることは避けて頂く方が安全です。また汗に含まれる酸性・アルカリ性の物質が原因で、黒ずみや変色が起きることもあります。
日常生活におけるシルバー925の黒ずみや変色の主な原因
プールや温泉、海水に触れること
シューズクローセットなど湿気が多い場所で保管すること
汗をかいた時に放置すること
日常生活で、シルバー925のアクセサリーが黒ずみや変色を起こす原因は、主に上記の3点になります。黒ずみが起こらない場合は特に気にしなくも問題ありませんが、もし黒ずみが起こる場合はこれらの原因を一つずつ改善していく必要があります。
シルバー925の変色や黒ずみを防ぐ方法について
次に、シルバーアクセサリーの黒ずみや変色を防ぐ方法についてご紹介します。
予防についての大切なポイントは、シルバーが変色を引き起こす要素をできる限り取り除くこと、適切な保管方法で保管すること、着用後に拭き取りをすることの3点です。特に着用時についた汗や、保管時の環境には注意してください。
アクセサリーを使用する環境や保管状態、体質などの影響により、変色が起こりやすい方もいます。一概にこれが必ず原因ということを断定しにくい場合がありますので、シルバーアクセサリー(ロジウムコーティング等のコーティングされたものも含む)に変色や黒ずみが起きやすいと感じる方は、ぜひこれからご紹介する方法を一通り試していただき、ご自身に合ったケア方法を見つけてみてください。
シルバー925 アクセサリーの変色を防ぐデイリーケア
シルバーアクセサリーのお手入れは、コーティングの有無で必要なケア方法が変わってきます。まずはご自分のアクセサリーがコーティングされているものかどうかを確認してください。
シルバーアクセサリー着用後のお手入れ方法
柔らかい布やティッシュを使い、汗や皮脂を拭き取る
コーティングの有無にかかわらず、シルバーアクセサリーの着用後は汗や皮脂を取り除くことが大切です。専用のクロスをご用意頂くのが理想ですが、ティッシュやメガネ拭きなど身近なものでも構いません。着用後にアクセサリーの表面についた汗や汚れを丁寧に拭き取りしてください。
ロジウムやゴールドコーティング加工が施されたシルバーアクセサリーは、研磨剤が含まれているクロスを使用すると、コーティング剥がれの原因となります。コーティングしてある製品の場合は、必ず研磨剤の入っていない、柔らかいクロスやティッシュを使うようにしてください。
シルバーアクセサリーの適切な保管方法
空気に触れないよう密封する
着用後にアクセサリーの表面についた汗や皮脂をしっかり拭き取ったら、アクセサリーを二重にしたポリ袋などに入れて保管してください。特別なものを使う必要はなく、ディスカウントストアなどで手に入る手軽なもので構いません。黒ずみや変色を防ぐためには、アクセサリーを空気から遮断し、しっかりと密封することが大切です。
湿気がある環境を避け、乾燥剤を活用する
シルバーの変色を防ぐために、湿気の多い場所を避けることも大切です。シューズクロゼットや玄関などの湿気がこもりやすく風通しの悪い場所は、シルバーアクセサリーの保管場所としては適していません。風通しが良いリビングの一角などで保管するのがおすすめです。ボックスに保管する時は、シリカゲルなどの乾燥剤と一緒に保管すると、湿気対策がより効果的になります。

シルバー925 アクセサリーについた変色や黒ずみをきれいに落とす方法
きちんとケアをしながら着用していても、シルバーアクセサリーの表面には徐々に硫化や酸化が起こり、黒ずみが出てくる場合があります。そんな時はどうしたら良いのでしょうか。ここからはシルバー925 アクセサリーの変色や黒ずみをきれいに落とす方法についてご紹介します。ここでもコーティングの有無によって、お手入れ方法が異なります。
コーティングされていないシルバーアクセサリーの場合
コーティング加工がされていないシルバーリングやピアス、バングルやネックレスなどの黒ずみは、研磨剤入りシルバー925専用クロスで軽く拭くだけで、ほとんどの場合きれいに落とすことができます。大ぶりチェーンタイプのブレスレットやネックレスなどは、クロスではチェーン内部の細かな部分を磨くのが難しいため、シルバー用の専用洗浄液の使用をおすすめします。
ゴールドやロジウムなどコーティング加工されたシルバーアクセサリーの場合
コーティングされたシルバーアクセサリーをお手入れする際は、研磨剤入りのシルバークロスの使用は避けてください。研磨剤がコーティングを傷つけ、剥がれの原因になります。鹿皮クロスなど柔らかく繊細な専用クロスを使い、表面を優しく拭き取ることをおすすめします。
ゴールドコーティングされたアクセサリーの場合、輝きを取り戻すにはゴールド専用の洗浄液を使うのが効果的です。ただし洗浄液を使用する際には次の2点に注意が必要です。
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長時間洗浄液に浸さないこと。
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洗浄後は必ず水で洗浄液を十分に洗い流し、柔らかい布で水分をしっかり拭き取ること。`
洗浄液に長く浸け過ぎると、汗や皮脂と反応して表面が赤く変色することがあります。また、洗浄液で落ちるのは表面的な汚れや軽い変色のみで、完全に色落ちしたり著しく変色してしまったゴールドコーティングを元通りに戻すことはできません。色味をしっかりと復元したい場合には、専門業者での再メッキをおすすめします。
こちらがわたしたちがおすすめするケア用品の一覧です。
シルバーアクセサリー洗浄液/シルバー用
シルバーアクセサリー洗浄液/ゴールドコーティング用
シルバーアクセサリー研磨剤入りクロス
鹿皮クロス

次にシルバーアクセサリーが変色してしまった場合の対処方法をご紹介します。
コーティングしていないシルバーアクセサリーが変色した場合
コーティングのないシルバー925 アクセサリーが変色してしまった場合は、前述の専用洗浄液や研磨剤入りのシルバークロスを使用することで、地金本来の光沢を取り戻すことが可能です。黒ずみが強く深刻な場合は、一度のお手入れでは十分にきれいにならないこともありますが、その場合は根気強くクリーニングを繰り返していただくことが重要です。
コーティングされているシルバーアクセサリーが変色した場合
ロジウムやゴールドコーティングが施されたシルバーアクセサリーが変色してしまった場合は、専門のジュエリー工房や購入したブランドにて、専門的なクリーニングと再度のコーティングを行うことをおすすめします。多くのブランドや工房ではこのサービスを提供しているため、まずは購入元へ問い合わせてみてください。
コーティング済みのシルバーアクセサリーが変色した場合、クリーニングと再メッキには費用と時間がかかります。そのため、わずかな変色が見られた時点で、保管方法や日々のお手入れ方法を見直し、変色の進行を予防することが大切です。

シルバー925 アクセサリーを永く愛用するために
SNSなどの影響により、ここ数年でシルバーアクセサリーはより身近なものになりましたが、日頃から素材やお手入れ方法に関する十分な知識が皆様に伝わっていないことを感じており、この記事を執筆させていただきました。
私たちものづくりをする人間や企業には、素材の特性や正しいお手入れ方法をお客様に丁寧にお伝えする責任があると考えています。
シルバーアクセサリーは、上質な革靴や丁寧に織られたデニムのように、愛情を注ぎながら定期的にお手入れをすれば、本来の美しい輝きを取り戻してくれます。さらに、使い込むほどに経年変化によって独特の味わいが生まれ、持ち主に馴染んでいき、世界に一つだけの特別なジュエリーへと変化していきます。そこには新しい製品には決して宿ることがない、心地よい関係性のようなものが生まれます。
新品から劣化して終わりという安価なステンレスや真鍮ではなく、シルバー925のアクセサリーを選ぶということは、ひとつのものを大切に永く使っていきたいという気持ちの表れだと思いますし、日々のケアを心がけることで、シルバーアクセサリーは必ずその気持ちに応えてくれます。
ぜひ、今回ご紹介したお手入れ方法を実践していただき、末永くシルバーアクセサリーを愛していただければ幸いです。メンテナンス方法などについてご不明な点がございましたら、お気軽にクライアントサービスまでお問い合わせください。